その1


私のフィアンセ…

へへ…、撲殺男だっての!

倉橋優輔…

一周り弱、年が離れてる

だからこそ、本来なら高校生の私を彼はとても心配してくれてる

NGなきワルのターゲットってことで…

そりゃあ、日本の極道界のてっぺんに睨まれてるんだものね、私…

でもね…

あなたには、あんまり心配してもらいたくないんだ

その気持ちが私に伝われば、それだけ迷いがでるのよ


...


「”秒殺狼”か…。しかし、すげえ異名だな…(苦笑)」

いや、”撲殺男”の方が上だって、絶対…

負けるな優輔!

こういうのって、私…、結構ムキになる…


...


「要するに、狙った獲物を瞬時に喰い殺すってか…」

「そういうことみたいね。北海道の人間らしいから、まあオオカミってとこじゃないの」

「…そんな奴が麻衣を狙う目的でこの地に入ってるとしたら、俺もじっとはしてられねえぞ!」

そう言う優輔の両眼、キレてるって(笑)

「あのさ…。今さらながらなんだけど、優輔の”撲殺男”って、そもそもどういう云われからなの?」

まさにどうしてこんなこと、今まで聞かなかったんだろうね、私…


...


「まず名づけ親を言うとな、剣崎さんだよ」

「…」

ゲゲッ、そうだったの…

私は思わずのけ反ったわよ(笑)