「……伊都?顔赤いけど、どうかした?」


「え!?あ、おかえり悠太くん!ううんなんでもないよ!電話の用事はもう大丈夫?」


「あぁ、悪い。さっきの……えっと、バスケくんとの話はもういいのか?」


「う、うん!ごめんねせっかく迎えに来てくれたのに。悠太くんも身体冷えちゃう前に帰ろうか。あ、夜ご飯はウチで食べるでしょ?悠太くんのお母さんもお父さんもちょうど今ウチのお店に来たって連絡があったよ」


「そうだな。そうするよ」


「今日は豚の角煮がお勧めだって、お母さんが」

「……あぁ、だからか。伊都は昔からサッカーはいつまで経っても下手だったのに、バスケだけは小さい時から上手かった理由」


「なにか言った?」


「……ううん、なんでもない」






帰り道、いつも以上に足取りが軽く思えたのはなぜだろう。


律くんの試合は初めてちゃんと見ることができたからかな?


それとも話すことができたから?今度家に来たいと言われたから?




答えがどれであろうと、律くんのことを思えばまた、私は笑顔になれた。