それでも律くんは、ずっと私の手を握ったままいつも楽しそうに歩いていた。
常に笑顔でいろんな話を持ち掛けてきてくれて、幼稚園のことや家で起こったことを面白おかしく話しては、私を笑わせてくれていた。
――あぁ、全部大切な思い出たち。
だから今、そんなイメージを払拭して少しでも成長した私を見せられたらいいなと思う。
大きな風が2人の間を抜けて、ハッと我に返った。
「あ、そうだ!律くん疲れているのに、いつまでも引き留めてしまってすみません!そろそろ帰らなくちゃ、ですよね……」
「……」
「律くん?」
「……」
「えっと、どうかしましたか?」
「じゃあ今の伊都ちゃんの幼なじみは彼、なんだね」
どこか一点を見つめながら深く考えごとをしている律くんが心配で、少し顔を覗いて問うと、風に吹かれて顔にかかっていた私の髪をゆっくりと耳にかけてくれる。
無言で頬に触れる律くんの指にまたドキッとして、無意識に両肩がグッと上がった。



