不器用なあの子は、今日も一宮くんに溺愛されている。






「伊都ちゃんのことを迎えに来てくれたの?」


「はい!家が近いので、昔からとてもよくしてくれるんです」


「彼とはいつから友達なの?」


「えっと、私がここに引っ越してきてからすぐなので、もう10年くらい前だと」


「……そっか」


「私、小さい頃は何かと引っ込み思案でモジモジしていたんですけど、悠太くんがガツンと喝を入れてくれたおかげでだいぶ改善したんです!」




小さいころの私を知っている律くんから見ても、少しは成長したなと思われていたら嬉しい。



同じ高校で、同じ学年で、バスケ部のエースである彼が、あのときの律くんだと分かったときから、段々と昔のことを思い出すようになった。





当時は男の子ばかりが集まるクラブに行くのが嫌で仕方なかったこと。


だけど、律くんがいつも家まで来て『一緒に行こう!』と声をかけてくれていたこと。


照れ屋でなかなか自分から話しを切り出せないまま、ずっと無言で体育館までの道のりを歩いていたことも多々あったから、きっと律くんにとってみたら、なんてぶっきら棒な女の子なのだろうと思われていたかもしれない。