不器用なあの子は、今日も一宮くんに溺愛されている。





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ひと言で言うならば、完膚なきまでの圧勝……だった気がする。


最初から最後までテンポの速い試合運びに加えて、選手みんなの動きはとても綺麗だった。



その中でもとくに、律くんのスーパープレイはひと時も目が離せないくらいすごくて、どこに目が付いているのだろうと疑いたくなるくらいのパス回しにボール裁き、そしてここぞという時に自ら切り込んでゴールを決めに行く姿は圧巻だった。







「伊都ちゃん、試合終わったよ?!うわっ、顔真っ赤だけど大丈夫?立てる?」


「あ、はい。大丈夫です!」




試合も終わって、観客の大半がこの蒸し暑い体育館を去って行く中、未だに冷め止まない鼓動はドクドクと忙しい。


気が付けばもう19時も過ぎていて、私は慌てて悠太くんに『今終わりました!』とだけメッセージを送ったあと、バスケ部のマネージャーの方がせっせと片付けていた椅子を真実ちゃんと一緒に手伝った。