不器用なあの子は、今日も一宮くんに溺愛されている。








「じゃあ、終わったら連絡入れて」


「うん、分かった!悠太くんも部活、頑張ってね」


「おう。伊都、お前転ぶなよ」


「じゅ、十分に気を付けます!」




バス乗り場まで来てくれた悠太くんは、そう言って笑いながら駅を目指して歩いて行く。


小さい頃から物静かな分、彼の言葉にはいつも重みがあった。


遠慮なく私を友達の輪の中に引き入れてくれて、モジモジしていると喝が飛んできた。


今考えると本当に、悠太くんのおかげで私はここまで強くなれた……気がする。







滅多に乗ることのない夕方のバスに乗り込んで、いつもと同じ15分を揺られながら行く学校までの道のりが、今日はやけに長く感じてしまう。


真実ちゃんはすでに場所取りを始めているらしく、近所の人を含めたいろんな人がこの練習試合を見に来ているそうだ。