不器用なあの子は、今日も一宮くんに溺愛されている。








ウチの高校がバスケで有名な強豪校なら、悠太くんが通う高校はサッカーで有名な強豪校だ。


そのサッカー部の手腕ルーキーが、ドサッと荷物を置いて腕捲りをしている彼。



小さなころから常にサッカーボールを片手に持っていたサッカー一筋の悠太くんは、共に小学校へ入学する頃にはすでにその頭角を現していて、学校のクラブチームの監督にスカウトされてからは毎年全国大会へ出場していたほどだった。





どちらかと言えば閑散としている密度の薄い地域のこの町は、悠太くんの活躍をみんなで応援して、全国大会に行くときは募金会からクラブみんなの当日のお弁当まで、とにかく町を挙げての大盛り上がりを見せていた。


その小学校はもう、隣町の小学校と合併が決まった年から廃校になってしまったけれど。





「あら、おかえり悠太!ごめんねー、部活で忙しいのに手伝ってもらっちゃって」


「いえ、いつも有り得ないくらいの時給もらってるんで」


「へへへっ、内緒よ内緒!この定食屋、こう見えて結構儲かってるからね。中学の頃から手伝ってくれてる悠太には特別に出血大サービス!」


「お母さん!煮物ブクブクいってる!」