「わ、私はその……、昔からよくこんなふうに不運に恵まれていて、あの、もしかしたら他の人にもそれを伝染させちゃう恐れがあって」
だから余計に、一生懸命に努力してきた律くんの邪魔だけはしたくない。
私が、嫌なんだ。
「うーん。じゃあ仮に、伊都ちゃんが不幸体質だとするでしょ?だったら俺は超幸運体質だよ」
「え?」
「うん、ていうか俺は今、超超超幸運体質を極めてると思うんだよね」
私の頭を2回、ポンポンと撫でて自身のワイシャツを脱いでソレを手渡した。
そして「ちょっと2人のカバン持ってくるね。タケたちに説明して、先に帰ろっか」と言って中に入ろうと背を向けた律くんに、思わず大きな声をかけた。
「ど、どうしてですか!?今だって、ホラ。律くんに迷惑をかけてしまってるんです、私!」
「考えてみてよ、伊都ちゃん」
「へ?」