中庭に設置されているベンチに座って、何故だか律くんはひたすらニコニコしながら私のほうを見てくる。
だから釣られて私も不器用に口角をグイッと上げてみると、彼はその完璧なまでの甘いマスクをくしゃりと崩して大笑いした。
「アッハハ、可愛いね伊都ちゃん」
「な、え!?そ、そんなことないです!」
「ううん、伊都ちゃんはめちゃくちゃ可愛いよ。今も、昔も」
「……っ」
高校バスケ界の中で律くんの名前を知らない人はいないほど有名人で、うちの学校だけじゃなくて、他校にもたくさんの女子生徒達のファンがいる彼に、そんなことを言われて平常心でいられるわけがない。
またドキドキと、胸の高鳴りがおさまらない。
「伊都ちゃんがあのクラブを離れてから、もう10年以上経ってるよね」
「そう、ですね。あのときはまだ5歳とか6歳とか、そのくらいの年齢だったので」
生い茂る木々が風に揺られて奏でる音が心地良い。
時折差し込んでくる太陽の日差しが神秘的だった。
「まさかこうやってまた出会えるなんて思ってなかったからさ、俺。伊都ちゃんがあの伊都ちゃんだって分かったときは本当に感動したもん」
「私も全く想像もつきませんでした。まさか同じ高校だったなんて!」
「でもまぁ、ある程度選別はしたんだけどね?」
「せ、選別?」



