それから律くんは、管理人さんに声を掛けて呼び出しの放送をしてもらって、やっぱり男の子のことを探していたお母さんと無事対面することに成功した。
不安そうな顔を拭えないままだった男の子にオレンジジュースを買ってあげたり、毎週日曜日に放送している仮面ライダーの話で盛り上がったり、私だったら絶対に成し得なかったであろう抜群のコミュニケーション能力で、最後まで笑顔のままお別れすることができた。
律くんがいてくれて助かった。
「律くんありがとうございました!助かりました!」
「たまたまだよ、喉乾いたなーって自販機探してたら伊都ちゃんがいたんだよ」
「そうだったんですか。あ、そうだ!助けてくださったお礼に、私、何か飲み物買ってきますね!何がいいですか?」
「ううん、奢らなくていいからちょっと2人で話さない?」
「え!?」
その返事にニッコリと笑った彼は、「よし、じゃあ出発ー」っと言いながら私の手を引いて、この建物の中庭まで移動する。



