ち、違うよお母さん!
律くんはもう、そんなふうに簡単なノリで普通のクラスメイトのように話ができる人じゃない。
小さい頃にあの町を離れて、というより私がバスケをやめてから彼は、《クラブの可愛い末っ子》から《日本のバスケ界の将来を担うであろうとんでもない選手》になっているんだよ。
昔から出会っていたという事実を知って、荒ぶる呼吸を抑えられない。
律くんは私のことをどこまで覚えているのだろうか。
「伊都?どしたの、顔が赤いよ?」
「な、なんでもない、平気!全然平気!私お風呂洗ってくるね!」
クラブへ行かなくなってから約10年。
イコール律くんとの10年ぶりの再会に、普段はあまりドキリとしない胸が疼いた。



