不器用なあの子は、今日も一宮くんに溺愛されている。








褒められることに慣れていないから、猛ダッシュで走って帰って来たせいでバクバクと鼓動を早めていた心臓が、再び暴れはじめる。



あれ、そもそも私なんでこんなに慌てて帰って来たんだっけ。




「あ、そうだお母さん。あのね、お父さんって昔……バスケのクラブチームとか作ってた?」


「え?」




そうだ、私が体育館で転びそうになったところを助けてくれた律くんが、あのあと私に話してくれたことを確かめたかったんだ。


まだ暑い日差しを送り込んでくるオレンジ色の夕日を背に、彼が教えてくれた話を、頭の中で何度も繰り返しながらここまで帰って来たんだ。