へっぴり腰のまま、律くんから手渡されるトロフィーを恐る恐るバトンタッチする。
ズッシリと重く、今までの優勝高校が全て記載されているペナントが何重にもなって掛けられてあるそれは、きっとこの重量よりももっと、大切な何かを含んでいた。
その先頭に、【XX年度 優勝 章栄高校】と書かれているモノを見て、律くんや瀬戸先輩が必死で練習している姿が思い起こされる。
優勝が決まった当時も相当な喜びがあったけれど、このトロフィーを持ってみてまた違った何かがグワッと込み上げてきた。
「律くん、本当におめでとうございます!」
「ハハッ。伊都ちゃんは最近よく泣くようになったね」
「今までの分を取り戻すのに必死なんです……っ!」
「もういいの?」
「もう十分です!貴重な体験でした……!」
やっぱりへっぴり腰は治らないまま、絶対に落とさないことだけに注意しながら彼に手渡した。
バスケをしている人なら誰だって狙うべきこのトロフィーを触れることができただけで、私は今日最高にツイているのかもしれない。
律くんはトロフィーを紙袋に戻して、家の門の横に止まってあった車のトランクにそれを乗せ始めるから、私は目を丸くして彼に問う。
「え!?り、律くん……。誰かお待たせしていたんですか?」
「え?あぁ、父さんだよ?空港まで迎えに来てもらったから」
「た、たたたた大変です!お、お母さん!お母さん大変だよ!律くんのお父様がいらっしゃるみたい!」



