不器用なあの子は、今日も一宮くんに溺愛されている。











「伊都ちゃんは本当、いつも丁寧に掃除するね。A組がうらやましいな」


「……っ」


「伊都ちゃんと話したいから、部活抜けてきちゃった」


「え、そんな……っ。私の話はいつでもっ」


「ううん、よくないでしょ?」




会いたいって思うのにどうしてか、いざ2人きりになると顏どころか姿さえ見られなくなって、ロッカーの扉を開けたままスッポリと自身を隠して身を縮める。



私今、律くんと出会ってから一番緊張している。


ドクドクと脈打つ音が自分の耳に届いて聞こえるくらいに、緊迫感が拭えない。






「出ておいでー、伊都ちゃん?」


「……」


「じゃあ俺がそっち行くね」


「ま、待ってください!今、律くんと話しちゃうと……っ、私、きっと」





――引き留めてしまうから。


海外遠征になんて行かないでって、言ってしまいそうになるから。