不器用なあの子は、今日も一宮くんに溺愛されている。










「あー、やばいな」


「え?」


「伊都ちゃんが可愛いすぎて、どうにかなりそう」


「え、えぇ!?」


「伊都ちゃんの私服姿、めちゃくちゃ可愛いし、なんかもう……ここが外でよかった」


「お、落ち着いてください律くん!」


「アハハ、伊都ちゃんも顔が真っ赤だけどね?それより、さっき何か言おうとしてなかった?」


「あ、それは、あの、律くんはとても有名な方なので、私のような凡人とよからぬ噂を立てられたら大変だと思いまして、その」


「よからぬ噂って何?どういう……って、あぁ、そうか。俺、ハッキリ伊都ちゃんに言ってなかったもんね」


「そ、それは!そのことは……っあの、私からもきちんと律くんにお伝えしたいことがあるので、また日を改めて!」





律くんに言わなくちゃいけないことはたくさんある。


あの日いろんなことを“スッ飛ばして”後回しにした全部を、伝えたいし聞きたいから。






「じゃあそれまで秘密ってこと?」


「は、はい!わがままですみません!」


「(雑誌のインタビューで全部言っちゃったことは黙っておこうかな)」





夕焼け空も、だんだんと暗くなっていく。


1週間ぶりの律くんとお別れする時間が近付いてくることに、少しだけ寂しさを感じながらも、それでももう一度こうして無事に元気な姿が見られてよかった。



心の底から本当に、本当に良かった――。