「助けてくれてありがとう、伊都ちゃん」
「あのままだと、律くんが潰れちゃうと思って……」
いつぶりかの、2人きりの空間。
まるで見つめ合っているかと錯覚してしまうほどの近距離で、律くんは微笑んだ。
「伊都ちゃんのね?連絡先を聞いてなかったことをここ数日ずっと後悔してた。俺たち10年以上も離れていたのに、こうやってまた再会してからは1週間会えないだけで不安で仕方なくなるよ。伊都ちゃんがまた、どっか行っちゃってたらどうしようってね」
私もずっと不安で、ずっと寂しくて、連絡も取り合えないことをずっともどかしく思っていました、と、そう言葉にする代わりに彼のコートの裾を掴んだ。
それが今の、私の精一杯。
それを見て一瞬驚いた顔をした律くんは、満足そうに笑いながら私の頭をポンポンッと撫でる。
このときようやく、律くんが目の前にいるということを実感できた気がした。



