それを知ってか知らずか、律くんはふっと笑って、そして心底安堵したように大きく溜息を吐きながら私の肩に顎をチョコンと乗せる。
周りの人たちは唖然として彼のこの行動を凝視しているけれど、多分この中で私が1番あんぐりと口を開けて驚いているに違いない。
「はあー、ホント良かった。伊都ちゃんが他の人のものになったらどうしようって、めちゃくちゃ焦った……」
「り、律くん一旦私から離れてください!みんな見ているので……っ!」
「寧ろもっと見せつけちゃう?」
「な、ダメです!」
グルリと回転しながらどうにか彼の元を離れると、途端に律くんは人に埋もれた。
もはやクラス会どころの騒ぎではなくなっていて、多田くんに至っては律くんにサインを求めて取り巻きの先頭を陣取ってしまっている。
「ど、どうしよう律くんが……!」
「ねぇねぇねぇねぇ、伊都!?これは一体どういうことかなー?」
「伊都ちゃん一宮くんと付き合ってるの!?」
「ち、違いますよ!」
ニヤニヤと顔を綻ばせながら擦り寄ってくる加奈子ちゃんと由香ちゃんは、人差し指でツンツンッと私を突いて何かを聞き探ろうとするけれど、それに応えられるわけもなく、ただひたすら「同じ学校の人ですってば!」を繰り返した。
この光景を見ていると、簡単に好きだと口に出来ないほどに、彼はすごい人だということを再認識させられる。



