不器用なあの子は、今日も一宮くんに溺愛されている。









謝りたいこと、弁解したいこと、たくさんたくさんあるけれど、今は私もそれら全部をスッ飛ばして――……。





「律くん、私……っ。律くんに言わなきゃいけないことがたくさんあるのですが、でも私もいろんなことをスッ飛ばすので……その、」


「うん?」


「私、もうどこにも逃げないのでっ、だから怪我しないように、頑張って……っ。そして優勝トロフィー、私に持たせていただけますか?」





なんて烏滸がましいお願いなんだろうって、そんなことが一瞬頭をよぎりながらも、だけどもう後には引けなかった。


湯気が出そうになるくらい、全身がカァッと熱くなる。



真っ赤になっているであろう顏を両手で覆って隠したとき、扉の向こう側からコンコンッとノックする音が響き渡った。







「律ー、あと5分だぞー。そろそろコートに戻ってこいってキャプテンが」


「……あー、うん。すぐ行くって伝えてくれる?」





声の持ち主は、タケちゃんだったような気がする。


時間が経つのが早すぎて、もうそんな時間なのかと慌てて外へ出ようとしたそのとき。