「……へ!?」
ボンッ、と茹で上がってしまった私は思いきり律くんの傍を離れて、向かいのロッカーに背中をへばりつけるように全力で逃げた。
それからそっと、未だに熱を帯びるおでこに触れる。
今、私――……。
「――うん。すっごい元気もらえた」
「あの!その、えっと……!」
「ありがとう、伊都ちゃん」
律くんはそう言って、シワが寄ったユニフォームを直しながら立ち上がった。
先ほどまで同じ高さで絡み合っていた視線が、今度は身長差の分だけ見おろされているというだけで、どうしようもないくらいドキドキと胸が鳴ってしまう。
「あの、律くん……っ、」
2人だけのこの空間が、いやに狭く感じる。
うるさいくらいに暴れる心臓をどうにか抑えながら、夕夏さんが泣き崩れながら教えてくれた律くんのことが頭から離れない。
私を探すために1人で章栄高校に入学して、自身の出世や名誉が掴めるチャンスを逃してまで会いに来てくれただなんて重要なこと、どうして教えてくれなかったんだろう。
瑠衣くんに何を言われてもずっと私の傍にいてくれた彼に、今もこうして戦っている彼に、私は何をしてしまった?



