律くん、という名前を聞いただけで反応してしまうくらい、私は敏感になってしまっている。
だけど傍にいてあげるべきは私じゃない。
頭の中で何度も駆け巡る、昨日の律くんのインタビューで私は悟ってしまったから。
《なんとしても勝ち抜いて、彼女に優勝トロフィーを持たせてあげたいです》
律くんはインタビューで、マイク越しに堂々とそう答えた。
自身が選手として優勝を望むことの他に、夕夏さんにトロフィーを持たせてあげたいがためにそう断言した律くんの、あの言葉を聞いて私は覚悟を決めることができたのだ。
「失礼します。すみません、今診ていただくことはできますか?」
「あぁ、ここに座って?」
騒めく会場とは一転、音のない医務室は消毒液の匂いが充満している。
達哉先輩は足の捻挫具合を説明しながらも、かなり痛そうに顔を歪ませた。



