不器用なあの子は、今日も一宮くんに溺愛されている。







あの日、聖央高校には瑠衣くん以外にもたくさんの中学時代の元チームメイトが在籍していると律くんは言っていた。


瀬戸先輩にポツリと「1年前まで同じチームとして頑張ってきたアイツらが、今は全員敵だなんて笑えますよね」と自嘲気味に吐き出した言葉はきっと、本音なのだと思う。





かつては味方だった人たちが、今は敵となって掲げた目標の目の前に立ち憚ってくるということが、どれほど心苦しいことなのか。


きっと私では理解に及ばないところまで、律くんにはダイレクトに直撃しているに違いない。







既に第2クオーターも残り30秒を切っている。


けれど誰1人として足を止めることはなく、みんなはどうにか開いた点差を1桁にしようと躍起になっているけれど、それをさせてくれないのが聖央高校であり、律くんの元チームメイトのみなさんであり、そして瑠衣くんだ。



5、4、3――……と無情にも時間は平等に過ぎていき、前半終了のブザービーターが鳴った、そのとき。