不器用なあの子は、今日も一宮くんに溺愛されている。





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白熱する第2クオーターも終盤戦、互いの高校の応援歌や打楽器の音が拍車をかけるように試合を盛り上げていく。


となりにいる夕夏さんや3年の先輩のマネージャーさんの声すら上手く聞き取れないくらいに、会場全体がそれぞれの高校に声をかけあっていた。





「律……っ、頑張って」


それでも何故か、夕夏さんのその声だけはスッと私の耳に届いてやってくる。


無意識なのか、ギュッと手を組んでまるで祈るようにそう言い続ける彼女は、本当に律くんを心から応援しているのだと見て分かった。







私たち章栄高校は、10点差を付けられて後れを取っている。


練習試合のときに見た光景と同じ、聖央高校は徹底的に律くんをマークし、決して彼を自由にはしてくれない。



そんな中でもエースという大きなモノを背負っている彼は、一瞬の隙を突いて自らゴールへ切り込んで行くものの、その集中力はきっと並大抵のモノではないと思う。



現に律くんは今、コートの中にいる誰よりも汗を流していて、膝に手を突いて荒く呼吸を乱していた。