「今のままじゃダメだって思ってる時点で1歩前進だよ。伊都ね、ここに引っ越してきたばかりのころも同じこと言ってたの覚えてる?」
「覚えて、ない」
「"となりの家の悠太くんにこれ以上怒られないようにシャキッとするんだ!"って言った次の日からね、伊都は本当に何でも自分で行動するようになったのよ?」
「そう、なんだ」
「だから、大丈夫。伊都はちゃんと変われてる。成長してるのねー」
それまで否定的だった自分自身が、途端に救われた気がした。
まるで実感はないけれど、お母さんの言葉で紡がれたそれらはグッと私の中に染み込んで、ゆっくりと溶けていく。
大丈夫よ、の言葉は本当に大丈夫な気さえするから、やっぱりお母さんは偉大な人だ。
「ありがとう、お母さん」
私、覚悟を決めなくちゃ――。



