電気の付いていない玄関で1人、ポツリと項垂れていた私を見たお母さんは、エプロンを脱ぎながら同じように座って頭を撫でた。
小さいころから知っている。
お母さんの手はいつも、温かくて心地いいってこと。
「私……っ、変わりたい」
「んー?どんな風に?」
「もっと、強くなりたい」
「えー、お母さんは今の伊都も大好きだけどなー」
「このままじゃ、ダメでっ」
「でも伊都が”変わりたい”って思っているなら、もうそれ1歩くらいは変われてるってことだよ」
「……え?」
お母さんはいつだってこうして私を褒めてくれる。
お父さんを亡くした悲しみは私と同じ分だけツラくのしかかってきたはずなのに、お母さんは一度だって私の前では泣かなかった。
ずっと2人で暮らしてきて、女手1つで私をここまで育ててくれて、一切弱音を吐かずに歩幅を合わせて寄り添ってくれるお母さんは私の一生の憧れの人。



