不器用なあの子は、今日も一宮くんに溺愛されている。






* * * *




無心になってやるべきことを熟して、バス停に向かおうと校門を出るとすっかり空は暗くなっていた。


等間隔に立ってある電灯が、辺りを隈なく照らしてくれる。









「――伊都?」


「へ!?え、は、悠太くん!?」




次のバスの時間を調べながら、真っ暗になる前には帰ろうと大きく足を前に出したその先に、落ち着いた声で私の名前を呼んだのは……悠太くんだった。


あまりに予想外だった彼の登場に、私はタタタッと早足に駆け寄る。





「おぉ、タイミングピッタリだな」


「ど、どうしたの!?」


「おばさんの店の買い出しのついでに、伊都の学校に寄ってみただけ」


「うそ……!ありがとう悠太くん!あ、荷物持つよ!ごめんね、もう暗いのに」


「いいよ。つーかお前の方が顔真っ赤じゃん。寒いんだろ」