流れるように出てくる言葉たちは声にならずに閊えて、それらを全て代弁するかのようにジワリと涙がにじみ出てくる。
それでもやっぱり、零れ落ちるまでには至らない。だけど今は好都合だ。
「伊都ちゃんのせいだよ」
「……っ」
「伊都ちゃんがまた、俺の前からいなくなろうとしたから」
向かい合うように正面に立って、そっと私の逃げ場を失くした律くんは、覆うように壁に手を突きながら見おろした。
律くんと私の、2人の影が無言で重なる。
「キミは覚えてないだろうけど、約束したんだよ。あのとき」
「……約束?」
「"いつか大きくなったら、必ず伊都ちゃんに会いに行く"って。"もし出会えたら、今度は離れないから"って」
「!」
「伊都ちゃんも俺に言ったよ。"待ってるね"って」
「うそ……っ」
俯く私と同じ目線の高さまで腰を落として、交わらないようにと務めた視線を無理やり合わせた彼は、「それなのにどうして逃げるの?」と首を傾げて問う。
何か言わなくちゃ、と頭をフル回転させて言葉を紡ごうとするけれど、焦れば焦るほどそれは上手く纏まらなくて、首を振って誤魔化すことが今の私の精一杯だった。



