不器用なあの子は、今日も一宮くんに溺愛されている。








どんなにスゴ腕の選手でも、きっとモチベーションや体調の変化によって左右されることは少なからずあるだろうし、勝つこともあれば負けることもあるのが試合だと言うこももちろん分かっている。




分かっているのに、どうしてか。


タオルで顔を覆って座っている律くんのことが心配で仕方ない。





「一宮、アイツが例の選手だろ?中学時代の、お前の」


「瑠衣だけじゃない。あの5番も8番も9番も、ほとんど全員が中学時代の元チームメイトでした」


「……そうか」


「1年前まで同じチームとして頑張ってきたアイツらが、今は全員敵だなんて笑えますよね」


「……」


「でも大丈夫です、キャプテン。――次は、必ず」


「そうだな。勝とうな」




クシャッとタオルを握りしめた彼の、その手が震えていたから私は、考えるよりも先に身体が律くんの方へ向かっていた。


何の根拠もないのに、だけどどこか確信的な自信を持って『律くんなら大丈夫です!』という言葉を提げながら。