不器用なあの子は、今日も一宮くんに溺愛されている。











「――じゃあ、今日はここまで。明日は朝9時から練習開始だから、全員遅れんなよー」




瀬戸先輩の締めくくりの言葉を合図に、部員のみんなは疲弊しきった様子でのそのそと更衣室まで足を運んでいく。


練習試合とは言え、このチームが負けたところを初めて目の当たりにした。


いつもあれだけ騒ぐ1年生もみんな、今日は無言で体育館を去って行くものだから、「お疲れ様でした」と声をかけることしかできなくてもどかしい。






「あー、それと一宮。お前はちょっと残ってくれ」


「……はい」



その中でも一番悔しそうに、苦しそうにしていたのが律くんだった。


今まで試合に出られなかった鬱憤を晴らすかのように、どんどん調子を上げてきた瑠衣くんは、勢いそのままに何か手ごたえを掴んだ様子でチームメイトとハイタッチをしながら帰って行く。