向かい合って、私だけを見てそう言った律くんの視線が痛い。
今、自分がどんな表情をしているのか見当もつかないから、答えられない代わりに顔を背ける以外の方法がなかった。
それに、きっと私は律くんが言うそんな顔はしていない。
だって、私は――……。
「泣きそうになんて、なってないです」
「……」
「あ、それよりホラ。本当に遅れちゃいますよ!私、こう見えて家事は得意なのでパパッと終わらせてすぐに戻りますね」
語尾まできっちり言い終わらないうちに、彼に背を向けてカゴを手に取る。
大丈夫、きっともうすぐ大丈夫だ。
時間が経って、慣れて、私がマネージャーの仕事を終えるころにはきっと元通りになる。
そしたらそのときは『おめでとう』って、ちゃんと言うんだ。
だから今だけ、もう少しだけ……1人でいたい。



