不器用なあの子は、今日も一宮くんに溺愛されている。







嵐が過ぎ去ったような静けさの中に、ポツリと残された私と律くん。


彼は「ごめんね、変なところ見せちゃって」と言って笑いながら、頭を2回ポンポンと撫でてまたさらに笑う。




「いえ……」


「洗濯物、まだ途中だよね。一緒に取り込むよ」


「い、いいです!私1人でできます!」


「でも2人ですれば早いでしょ?伊都ちゃんの手、真っ赤だし」


「大丈夫です!離れてください!」




あまりに近いこの距離に、思わず律くんを押しのけてしまった。


ハッと気づいたときにはもう遅くて、それでもどうにか一定の距離を保たずにはいられない。






律くんを感じて、ドキドキする意味が変わってしまった。


浮ついて、高揚するそれではなくなった。








「伊都ちゃん?」


「ご、ごめんなさい律くん。でも、律くんは部活に戻らなきゃダメですよね」


「伊都ちゃんが泣きそうな顔してるのに?」


「……え?」


「どうしてそんなふうに、悲しそうな顔してるの?」