息を切らしながら走って律くんを探しにきた夕夏さんは、瑠衣くんの姿を見て驚いていたけれど初対面ではない様子で、彼のことを「瑠衣」と呼び捨てにして言った。
そして瑠衣くんも彼女の姿を見て「久しぶり」と切り出したから、この3人が顔見知りだということだけはすぐに分かった。
「まぁ、チームのヤツらもそろそろ着くころだし、俺は一旦戻るわ」
「瑠衣、待ってよ!」
「――律、決勝で思い知らせてやるよ。いかにお前の選択が間違っていたかってことを」
「そういうのはまず決勝に上がってきてから言いなよ」
「今日はその前哨戦ってわけだ」
「それより足の怪我はもう治ったわけ?」
「ハッ、人の心配かよ!余裕ぶっこいてんなー!」
「……違う。俺に勝負を挑むなら万全の体勢でかかってこいって言ってんの」
「2人とも、やめなよ!」
瑠衣くんは吐き捨てるような笑いを1つ落として、そのまま体育館へと向かって行く。
困った表情を浮かべた夕夏さんは、律くんと瑠衣くんの両方を交互に見渡したあと、ゆっくりと瑠衣くんの後を追った。



