「……伊都ちゃん、転んだ?」
「へ!?」
すると突然、何かに気付いたように律くんは顔を傾げながら私の方へ歩み寄る。
先ほどまでの雰囲気とは打って変わって、よく見るいつもの顔になっていた彼は、私の服に付いていた草を払いながら「どうしたの?これ」とさらに深く追求した。
1歩ずつ、律くんが近づいてくるたびに胸が高鳴る。
「えっと、転びそうになりましたけど、そこのお方に助けていただいたので未遂です!」
「……瑠衣に?」
「瑠衣くん、と言うのですね」
律くんのうしろ側に立っている彼をチラリと見て、交わった視線を合図に軽く会釈をした。
そして彼もまた、手を軽く上げてその返事をしてくれたからきっと悪い人ではないと思う。
「――ちょっともう、律!?どうしてアンタはいっつもすぐにいなくなる……って、瑠衣?」
「よお、久しぶりだな夕夏」
「え?まだ聖央の人たち来てないよ?」
「お前たちに会いたくて1本早い電車に乗って来たんだよ」



