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「伊都、どうしたのー?本当に晩ご飯いらないの?」
「うん。今お腹痛いから、今日は控えるね」
「ちょっとも食べないの?お母さん特製のおかゆ、作ってあげるよ?」
「ありがとう、でも大丈夫。今日はもう寝ようかなって思ってるから先に部屋行くね」
あのあと、どうやって練習を終えて、どうやって家まで帰ってきたのかあまり覚えていない。
ただ無心に言われたことをメモしながら熟して、どこか虚無感に襲われながら、それでも必死に堪えて15分間バスに揺られた。
何がこんなに悲しいんだっけ?
どうしてこんなに落ち込んでいるんだろう。
“あたし達ね、幼なじみなの”
――心の中で、私は律くんと小さい頃からの知り合いで、一緒にいた期間は短かったけれど言うなれば幼なじみのような関係で、それがすごく特別で、だから律くんは私と今も仲良くしてくれるんだってどこか自負していた。
だけど大間違いだった。
律くんは私がいなくなったあと、夕夏さんという存在を見つけて、そしてそれを大切にした。



