「あの殿下が、とうとうセリーナ嬢にお気持ちを伝えることが出来たなんて私は感無量ですよ! 凄いですね! 頑張りましたねっ!」

「あぁ。結構頑張った。勇気がいる事だったが、告白できて良かったと思う」

 少し気が晴れたのかスッキリした顔をするジェフェリー。

「そうですよ! あのうじうじした姿をセリーナ嬢に見られなくて良かったですねー」


「……見られたよ。セリーナが婚約を解消しようとしていたなんて……。ショック死しそうになったよ。でもここで死ぬくらいなら恥でもいいからセリーナに気持ちを伝えて今までの誤解を解きたいと思った」


「殿下! 成長しましたね! 私は殿下の成長を目の当たりにして嬉しく思います!」


「私の知る限りおまえは私と同級生のはずだが……成長って……」


「セリーナ嬢の誤解をとっとと解いて今まで溜め込んでいたその重い愛を伝えられたら良いですね!」


「セリーナが私に気を遣って隣に座ってくれるんだ。顔が見られなくなって残念だけど、近くにいるっていいもんだな」


「はい。そうですね! 慣れていきましょう。セリーナ嬢のお顔に」


「十年無理だったのに? 今更無理ではないのか?」


「仮面や頭巾をかぶってもらうわけにはいけませんでしょうに……」


「セリーナの可愛い顔に何かを被せるなんて無理だ! でも、結婚式にベールは付けてもらわないと……ベールを捲って顔を直視する事が出来るだろうか……そうだな。慣れていかないと。いざと言うときに困るな」


「結婚式でフリーズされても困りますからねぇ。習うより慣れろ! ですね」


「善処しよう!」


 ここで側近の一人が言った。


「そういえば、王妃様のお怒りは収まりましたか?」



「……恐ろしかったな。あのジュリなんとかと言う平民の生徒と私が付き合っているなんて本気で思ったのだろうか? 母上は私がセリーナを好きなことを知っているだろうに」


「噂とはおそろしいですね。誰が流しているのでしょうか?」


「調査してくれないか?」


「はい。仰せの通りに。私が抜けても執務を滞りなくしてくださると言う約束をしてください」


「うむ。早めに頼むよ」