「初めてですわ!」

 侍女も一緒に来ていたので、侍女がトレーとトングを取って待ちかねていました。

「私がやりたいですわ」

 侍女のトレーを譲ってもらおうとしたのですが……


「いいえ。お手伝い致します。もし落とされでもしたらパンが可哀想です」

 両手を使わなくてはいけないものね。人にぶつかって落とす可能性もあるという事?


「そ、そう? それならお願いね」


 侍女とのやりとりをサムさんとダニエルさんに笑われてしまいました。


 数種類選んで会計に進みました。するとサムさんのご両親が出てきて、帽子を取り丁寧に挨拶をしてくださいましたわ。


 私の方がお世話になっていますのにね。奥にお茶をご用意しますと言われ、せっかくなので奥の席へと移動しました。