(ジュリアナ視点)

 放課後、また例の令嬢に話しかけられた。

「ジュリアナ様、少しよろしいでしょうか?」

「あら? 何の御用ですか? 私はジェフェリー様に呼ばれていますの」


 チラッとセリーナ様を見た。見るからに平常心! でも貴族は何を思っていても顔には出さないのよね。

 小さい頃からそう言う教育なんですって。本当にお人形さんの様な顔立ちだわ。


 あら? サムとダニエルに話しかけて、教室を出て行ったわね。


 まさかあの二人と出来ている……って事はないでしょうね? 変な人!


「殿下はセリーナ様の婚約者です。いくらあなたの世話役をしていると言いましても、あなたの行動は目に見えて敵を作ってしまう様な態度ですわ」

 何を言っているの? ジェフェリー様に特別扱いされている私に嫉妬しているとか? 


「ごめんなさぁい。殿下と親しくしている私に嫉妬しているのは分かるんですけど、貴女には関係ないですよね? だって殿下ってセリーナ様とは政略結婚なのでしょう? 殿下も学園にいる間しか自由が無いんですもの。仕方なくないですかぁ?」