今年の新入生に平民の女子生徒が入学してきました。女子生徒が入ってくる時には世話役として一学年上の生徒が選ばれるのが通例となっています。


 その世話係に選ばれたのは、私の婚約者ジェフェリー様でした。

 王族も平民の方との交流をした方がいいと言う事からだと聞きましたわ。この事に関しては素晴らしい考えだと思いました。


 恥ずかしながら普段の生活で平民の方の生活に触れることはありませんもの。


 国の殆どが平民ですのよ? その生活を王族が知ると言うことは、この国のことを知ると言うことですものね。


 私のクラスには平民の方が三名おられましたわ。


 女子生徒のジュリアナさん。
 男子生徒のサムさん、そしてダニエルさんの三名です。


「ジュリアナさん、こちらが貴女の世話係のジェフェリー殿下です。失礼のないようにしなさいね」


 先生に紹介を受けたジュリアナさんは、恐縮した面持ちでしたわ。
 ジェフェリー様をお見かけするのは一年振りでしたが、私には気づいていないようで、ジュリアナさんと教室から出て行かれました。


 相変わらず無表情といった感じでした。十年前から変わらないその表情を懐かしく思ってしまうのは可笑しい事ですわね。