「な! なんて事だ! セリーナが私との婚約を解消したいと……」


 青褪めるジェフリーに側近が言う。


「あーあー。やはりセリーナ嬢は殿下に嫌われていると思われているのではないですか? 私が女性ならそう思ってしまいますよ」


「母上からも手紙が来た……母上は私がどれだけセリーナの事を思っているか知っているだろうに!」


 母に会うたびにセリーナの話題になり、どれだけ尊い存在かと言う事を熱く語っているのに!


「殿下の周りでその熱い気持ちを知らないのはセリーナ嬢くらいではないですか?」


 みんな知っているのに、セリーナに伝わっていない……自分で言うからと口止めをしたせいか?!


「セリーナに渡すデビューのドレスは出来上がっているか?」


「はい。もうすぐ出来ますよ。注文していた茶器もそろそろ届きますからご安心を」

 新しい茶器でセリーナを改めて誘う。人が使った茶器なんてセリーナに出せない。まずはセリーナに出してからじゃないと他の人には使わせない。それが私のマイルールだ!