「セリーナはまだかなぁ」

 サロンでウロウロとするジェフェリー。

 コンコンコンとノックする音が!


「来た!」


 側近の一人が扉を開けに行く。
 セリーナの前で緊張して話ができなかった時は側近がフォローしてくれる。頼りになる存在だ。


「えっと……ジュリアナ嬢? どうされました?」

「え? ジェフェリー殿下からご招待をいただいたのですけれど……」


「ほぅ? それはどのように?」


「これです! 私の机の上に招待状が置いてありましたもの」

「……少しお待ちを!」







「殿下! 招待状はセリーナ様の机の上に置いたのですね?」

「当たり前だろ! 教壇の真ん中前から二番目」


「……殿下、セリーナ様のクラスは席替えをされてセリーナ様の席は窓側の席に移られました!」


「なんだって!」


「招待状は間違えてジュリアナ様の机に置かれたのでしょう。間違いとは言え、帰すことは出来ません。こちらのミスですから失礼に当たります」


 招待して間違いだったとは言えない。そういえばセリーナから返事が返ってこなくておかしいと思ったんだ……


「それはそうだが……せっかくのセリーナとの時間が」


「次回はお間違えのないように! 本日はジュリアナさんとお茶を…… 適当に楽しませて帰ってもらいましょう。世話役として誘ったと言う事にしておけば、周りから不思議に思われることはないでしょう」





「……わかった」

 がくりと項垂れるジェフェリーだった。