「ふふっ。仲良くしてくださいますのよ。私のようなものにもお優しくて、このような場を作ってくださって素晴らしい方ですわ」


「そうですか……」


 令嬢はチラッとジェフェリーの婚約者と言う噂のセリーナ様を見た。


 いつもセリーナ様は平民の男子生徒に市民の生活について聞いているの。何が楽しいんだか……? 変わった人ね。


 それにジェフェリー様の婚約者と言いながらも一緒にいるところを見たことが一度もない。

 貴族によくある政略結婚と言うやつなのかもしれない……愛がないのに結婚させられるジェフェリー様が可哀想だわ!


 平民二人の男子生徒は、よく恥ずかしげもなくセリーナ様と話がしていられるわねぇ。貴族の令嬢なんて表向きしかいい顔しないのに、まんまと騙されているわよ。バカな男たち!


 紫の髪色に同じ様な透き通った紫の瞳、肌は透明感があってまるでお人形のような美しさだけど、ただそれだけでしょう?


 見目はいいけど婚約者に相手をされないような可哀想なお方。


 だから平民の男子生徒と仲良く話ができるんだわ。貴族としてのプライドがないのかしら?


 変な人!