「セリーナが教会のバザーに焼き菓子を寄付するようなんだ。なんとかして全部買取できるように手を回せないか?」

 ジェフェリーが側近達に言った。


「無理です! 良い加減にしてください。お茶です! お茶に誘いなさい」

 側近の一人がジェフェリーにごちる。


「それより、あの平民の男子生徒と話している時のセリーナは楽しそうで、見ていて辛い! それに私のことを聞かれても、なんのコメントもなかったではないか……」


 うじうじとするジェフェリーを見て側近の一人が言った。 


「もしかして嫌われているんじゃないですか? 同じ学園にいるのに声もかけないし、婚約者の交流も持たない。なのに年に数回律儀に手紙は届くんですから、複雑でしょうね」


「そう言うものなのか?!」

「いえ、分かりませんけどね」

「明日こそお茶に誘おう……」

「得意の手紙でお誘いすればよろしいのでは?」

「そうだな……そうするよ」

 はぁ。とため息をつくジェフェリー

「話したい事は沢山あるのにな……」


「格好つけてないで、ありのままの姿をお見せすれば良いのですよ。あの無表情の顔では好かれませんよ?」

 現時点で百面相をしているような面持ちだ。


「そうなると顔面崩壊だぞ?」


「セリーナ様の前限定とすればよろしいではないですか? 女性はツンデレとか言うものに弱いと聞きましたよ。いい言葉が世の中にはあるものですね」


「ツンデレ……か。覚えておこう」