婚約してから十年、私に興味が無さそうなので婚約の解消を申し出たら殿下に泣かれてしまいました


「お待たせ、行こうか?」

「ジュリアナ様はなぜこのような真似を?」

「さぁね。分かれば止めていた?」


「そうですね……私に恨みがあるのなら直接お聞きしたかったですけれど、ジェフェリー様の婚約者のわたくしに何かあれば、その後どうなるか考えればわかりそうですのに……罪は償って貰いましょう」


「ふむ。王都での生活に慣れていたあの娘には辛い事となるだろうな、牢に入れるとそれだけ経費が掛かるから、追放くらいで許してやろう」


「怪我はなかったですし、あの方が投げてきた物もただの革製のボールですものね」


「父上や母上に甘いと怒られそうだな……」


「私も一緒に怒られますわ」


「優しいねセリーナは」


「本当は怒っていますよ。ジェフェリー様に相談したら一緒に馬車に乗るって言ったから! あのリークが嘘で劇薬だったらどうするんですか? ジェフェリー様に何かあっては困りますよ。囮なら私だけで良かったのです」


「それはこっちのセリフだよ! セリーナに何かあったらと思うと生きた心地がしない! それに私が一緒にいた方がすぐに対処できるじゃないか」


「でも、」

「いや、」

「でも、」