「お待たせ、行こうか?」
「ジュリアナ様はなぜこのような真似を?」
「さぁね。分かれば止めていた?」
「そうですね……私に恨みがあるのなら直接お聞きしたかったですけれど、ジェフェリー様の婚約者のわたくしに何かあれば、その後どうなるか考えればわかりそうですのに……罪は償って貰いましょう」
「ふむ。王都での生活に慣れていたあの娘には辛い事となるだろうな、牢に入れるとそれだけ経費が掛かるから、追放くらいで許してやろう」
「怪我はなかったですし、あの方が投げてきた物もただの革製のボールですものね」
「父上や母上に甘いと怒られそうだな……」
「私も一緒に怒られますわ」
「優しいねセリーナは」
「本当は怒っていますよ。ジェフェリー様に相談したら一緒に馬車に乗るって言ったから! あのリークが嘘で劇薬だったらどうするんですか? ジェフェリー様に何かあっては困りますよ。囮なら私だけで良かったのです」
「それはこっちのセリフだよ! セリーナに何かあったらと思うと生きた心地がしない! それに私が一緒にいた方がすぐに対処できるじゃないか」
「でも、」
「いや、」
「でも、」



