「覚えてないとは言わせねぇ。おまえのせいで会社は潰れ借金地獄だ!」
……見覚えあるわね。
「あ! そうだあんた! ゴシップ誌の?」
「そうだ! 貴族の連中に目をつけられて逃げまわる日々だ! おまえのせいだ!」
目が血走っているゴシップ紙の男。廃刊になったとは聞いていたけど潰れたんだ。それがなんで私のせいよ!
「人のせいにしないでよ! 何もかもセリーナ様のせいじゃないの! もう! なんなのよ! 許せないわあの女!」
「……ほう。じゃぁこれやるよ」
急に態度が変わり、ニヤリと笑うゴシップ紙の男。
「なによ? それ!」
「これは水につけて衝撃を与えると煙が出る仕組になっているボールだ。その隙にそのセリーナ様とかをやっちまいなよ。目眩しにはなる」
「ふーん。手伝ってくれない?」
「いや! 俺は顔が割れている。おまえの好きしろや、じゃあな」
このゴシップ誌の記者はジュリアナは元よりフロス商会に恨みがあった。



