「あぁ、それは全く関係ないよ。成績不振がまず理由だ。とても口に出せるような成績ではなかったようだよ。一般の生徒のボーダーラインの遥か下だった。遅かれ早かれ退学になっていたよ」


「まぁ! そうなのですか」


「学園にはルールがあってそのルールを守らなければ退学になる」


「はい」


 入学の際に学園の規則を読みサインをしましたわね。


「成績のこともあるが、セリーナを怪我させた事や、侮辱する行為、そして反省が見られなかったとの事だ。学園長から説明を受けた」



「学園長様がそのように判断されたのなら、仕方がございませんわね」


 学園長様は王族です。国の将来の為に優秀な平民を学ばせたいと陛下と話をされて、学園の事を一任されています。

 学園長様はとても人格者であり、教育熱心なお方ですもの。学園長様が決めた判断に異を唱えることはもちろん致しません。


「それで…………フロス商会がまた……」


「なんですの?」

 歯切れが悪そうです。フロス商会といえばジュリアナ様のご実家。最近世間を騒がせています。


「違うゴシップ誌に事実無根の事を証言したんだ」


 バサっと新聞紙を出してきました。



【王立学園の学園長はワンマンだ!】

【王太子と平民の身分差婚を阻む権力】

【王都一のフロス商会の経営を邪魔するランディ侯爵を許すな!】

【王太子の婚約者は贅沢病で税金を搾り取っている】

【ジュリアナ嬢の強制退学の裏側】



「まぁ……! この記事を市民は信じて喜んでいますの?」



「いや。そっぽを向いている」

 そう言ってジェフェリー様は笑いました。


「違う新聞だ。これはちゃんとした所が発行しているから信頼度も高いよ」


 別の新聞を出してきました。



【フロス商会で働いていたAさんが告発!
フロス商会で起きていたこと────】