「お仕事を優先してください。気にしていませんよ。ご心配おかけ致しました」


「怪我の具合は? 医師はなんて言っていた?」


「数日の安静だそうです。念の為の固定で見た目は痛々しいですが大したことありませんのに、皆さん大袈裟なのですわ」

 
 足を少し捻っただけなのに、みんな大袈裟というか……二、三日で治りそうな感じですのに、反論は許されませんでした。


「そうか。十日後にはデビュタントがある。それまで安静にしてなさい。さぁ帰ろうか」


「侯爵! ちょっとお待ちください! セリーナは安静ですよね! 後遺症が残ってはいけません。このまま王宮で安静にしていてください。国一番の医師もいますし、ここの方が安心です!」


「いや、家の方が落ち着くでしょう」


「お願いします。安静です! セリーナこの部屋を好きに使って良い、何か足りないものがあったらすぐに揃えさせるから、ここにいて欲しい。頼むからっ」


 こんなに必死で言われたらお断りすることは難しいですね。


「お父様……よろしいですか?」




「う……む。仕方がない」