「セリーナ! 無事か!」

 セリーナの父であるランディ侯爵が娘が怪我をして王宮に運ばれたと聞き駆けつけてきた。


「お父様、ご心配をおかけしました。大した事ないので平気ですわ」

 お父様は駆けつけるなりジェフェリー様を睨みながら言いました。

「セリーナの怪我は元々殿下がセリーナに対して煮え切らない態度をしていたからでしょう!」

「侯爵のおっしゃる通りです。面目ありません」

 顔面蒼白とはこの事を言うのでしょう。お父様はジェフェリー様にタラタラとお説教をはじめました。王子殿下にお説教って……こんなお父様の姿を見た事がありませんでした。

「お父様、もうその辺で……ジェフェリー様のお気持ちはもう十分伝わりましたの」

「あぁ、セリーナ可哀想に……来るのが遅くなってすまなかった。来客があってどうしても外せなかった」

 お父様が辛そうな顔をしていました。そんなに大した怪我ではないのに、申し訳ないですわ。