その様子を見ていたクラスメイトの一人が教室を飛び出して行きました。ざわざわとする教室内。


 ジュリアナさんはそんな様子を見て鼻で笑っていました。

 サムさんとダニエルさんの手を借りて、なんとか立ち上がるとそこへ


「セリーナ!」


 ジェフェリー様がやってきました。すぐに近くに寄って大丈夫か? と聞いて下さいましたわ。


「セリーナに何をした!」

 ジュリアナ様を見ながらそう言いました。お顔は見えないけれど声に怒気が込められているような感じがしました。


「何もしていませんわ。セリーナ様が急に私の目の前で転んだのですわ。皆さん見ていらしたと思いますわ。セリーナ様大丈夫ですか? 意外とおっちょこおちょいなんですね」


 ざわざわとする室内。皆ジュリアナ様に悪意のある表情を向けていました。


「ジェフェリー様、その通りです。私が勝手に転んだのですわ。ご心配おかけしました。もう大丈夫ですから、」

「大丈夫な訳あるか! 心配して当然だろう! 大事なセリーナに何かあったらと思うと居ても立っても居られない!」


「ジェフェリー様……」


 きゅっと胸が掴まれる思いがしました。ジェフェリー様の顔を見ると真剣な顔つきで、心配してくださっているのが分かりました。お顔を逸らさずにちゃんと私の方を見てくれました。


「ちょ、セリーナあんまり見ないで、恥ずかしいから、いや、嬉しいけど、くそ、可愛いな、」


 急にしどろもどろになるジェフェリー様はいつもの様子に戻りました。すごく凛々しくてカッコよかったのに……でもそんなジェフェリー様も素敵です。