「ねぇ、あなたフロス商会をどうなさるおつもり?」


「うちを敵に回して何がしたいんだろうか? 今度友人を招いて晩餐会をするだろう? 食材が変わった事を知ったら皆どうするだろうか?」


「まぁ! あなたったら。皆さんフロス商会から買わなくなるではないですか、人が悪いです事」


 オホホホホ……と笑う夫人。


「貴族の家に食材を卸して()()()()()と言う態度が見え見えだったんだ。他にも業者はいる。他の業者はフロス商会に気を遣っているだろうが今がチャンスだな」


「セリーナのお友達の家の方も喜んでいらしたし、良かったですわね」


「あぁ。貴族の家で食材が使われると言う事は評判にも繋がる。ただし! 売れたからと言って手を抜き味が変わったら、そこで契約は終了だよ」

「まぁ、フロス商会のことを言っておいでですの?」


「さぁ。どうだろう」


「例のゴシップ誌の事もありましたのにね」


「廃刊にしたくらいじゃ、殿下の怒りは収まらなかったよ」