婚約してから十年、私に興味が無さそうなので婚約の解消を申し出たら殿下に泣かれてしまいました


「? それはおかしいですわね……西の国のお妃様は亡命などしておりませんもの。民を見捨てる様な方ではありませんわよ」

「何を知っているの知りませんが、そう言う由来があっての、」

「あり得ませんもの。まず先の大戦と仰いましたが、先の大戦は西の国は関係ありませんでしょう? この細工を見る限り最近のデザインですし、由来とおっしゃるには新しすぎますわ」

「私見でものを言わないで! 泥棒のくせに! まずは謝りなさいよ!」


「セリーナ、ちょっと見せて」


 髪飾りを手に取りじっと見るジェフェリー。