作者前説



初出執筆時の『開けずの手紙』という作品は、ここまでの第1部で完結としました。
もともと本作は、自分的にはあまりこだわりのなかった”怖さ”にウェートを置いて執筆した短編ホラー小説でして…。



”ホラーで怖さにこだわらないって、逆になんなの?”と突っ込まれるでしょうが、ホラー大好き人間の自分でも、作品に怖さを求める執着にはなぜか希薄でして…。



自分的なホラー作品の土台って、非日常世界のフシギ、不条理…、そこ一点って気もするんです。
なので、自分が創り出すホラー小説の”世界”って、厳密には”都市伝説””風土民話””SFもの”という作品系統に集約されてしまってるのかもしれません。



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で…、この『開けずの手紙』は”そこ”をボーンと飛び越えて、モロ呪いを土台に据えたホラーの王道(?)にチャレンジしてみた訳です。


ストーリー的には、年配の男性高校教師がかつての教え子に”逆恨み”を買って、呪いの手紙を受取るという流れをベースに、定年を間近かにした教師の苦悩と葛藤、家族愛を絡め、その呪いの連鎖と向き合う恐怖まで踏み込みました。



結果、当初のプロットを上回るボリューム感になったのですが、呪う方・呪われる方どちらもオトコ…、ヤローどもってことで、華が欠けてしまった感はカンペキ否めませんでした(笑)。



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ただ、土台となるストーリー設定で、逆恨みを抱く側の元生徒には、就職相談で一生を傷つけられた(思いこみ・被害妄想は含有させた上で)という事象にはこだわりが強かった為、ならば男子生徒だろうと…。


一方の逆恨みを買う教師には、定年後の人生設計へ思いを巡らす心情を描き出したかったので、そうなると必然的に年配の男性教師という設定で収まってしまいまして…。



やはりこの背景描写では、メインのメンツが女性では説得力が弱いという思いが強かったものですから。



ネタバレさせちゃうと、本作品中、いくつかの設定は”実体験”をはめ込んでいます。
なので、”性別”は簡単にエイヤーとはいかなかった経緯も正直、ありました。



そこで、すでに続編のイメージはパンパンに膨れ上がっていたこともあり、呪い系ホラーの必須アイテムと言える”女子高校生”をドンと前面に押し出し、即『続・開けずの手紙』を執筆したしだいです。

ただし、本サイトで公開するにあたっては、続編を第2部というくくりで再構成した編集バージョンにしてみました。


第2部のキャッチは以下の通りです…⤵

ー鬼島則人の産みおとした”百夜殺し”の呪いは、”開けずの手紙”をそのソフト媒体として紡がれていた。かくて、呪いのパンデミック増強剤を宿した恐怖の種子は東京都下、女子高校生の輪へと侵食していく…ー